前ページを踏まえて、私なりの仮説をいろいろ考えてみました。
とは言え、非理系人の私だけでは何も進まないので、ずっと使ってきた”アイコク”の(株)大宮糧食さんに問い合わせてみました。

蛇足ですが、この缶の形状、ブランドが違うのに同じすぎでは?

Baking Powder

と思って裏を見たら、やっぱり。全部「大宮糧食」製造でした。

仮説1

==助剤の中に、後味が残りやすい成分があるのではないか?==

A.(大宮糧食さんによると)重曹と酸性剤の中和反応によってできる物質が後味の原因とされていて、特に「酸性ピロリン酸Na」「第一リン酸Ca」の配合が多くなると、苦み・渋みを感じやすくなるかもしれない。

とすると、アイコク赤・富澤・ラムフォードは渋くなるBPで、cottaは大丈夫、ということになろうか?
でも、この時は”アイコク赤”についての質問だったので、cottaの成分(例えばフマル酸)も渋くなる成分である可能性は否めない。

仮説1の実験

アイコク、富澤、cottaの3種類でスコーンを焼いてみたところ、それほど感じ方の差はなかったです。
そもそも結構繊細なレベルの後味なので、その後味を探しに行くような味わい方をしていたからかもしれません。

メーカーからのアドバイス

大宮糧食さんから、”アイコクWアップ”という製品は、BPの後味を感じにくいとのご案内をいただきました。
が、業務用なので2kgパック。試すに試せません・・・
成分を見てみると例の「酸性ピロリン酸Na」「第一リン酸Ca」はまあまあ入ってます。

他の違いを探すと、コーンスターチが少ない。つまり、重曹に対する助剤の割合が多い。
助剤割合は多い方がいいのか?
もしくは、謎の「グリセリン脂肪酸エステル」の効果?

というか、私としては、後味を感じにくい配合があるなら、全部そうして欲しいのですがー

仮説2

==スコーンは焼成時間が短めなので、反応しきれなかったBPが残っている?==

A.(大宮糧食さんによると)その可能性もある。スコーンは加水が少ないので反応しにくいという特徴も。
重曹は水の存在する環境では65℃で分解しガスを発生するので、BPの効力がなくなる温度は65℃である。

仮説2の検証

焼き上がりの中心温度は100℃に足りないぐらいでした。
65℃はゆうに超えているので、重曹は反応し終わっているけれども、助剤(特に遅効性)が反応するには温度や時間が足りない可能性はあるかも?

この点から言うと、富澤の助剤は即効性の「第一リン酸Ca」だけなので、これがベストとなるか。
しかしこれは、仮説1とは相反する。

<<アルミニウムフリーについて>>

助剤ついでにアルミニウムの話。
いつの頃からか、ベーキングパウダーといえば「アルミニウムフリー」でなければ、ということで、「アルミニウムフリー」であることをBP選択の基準にしている方がいるかもしれません。
これは成分で言うと「ミョウバン」のことなんだそうです。昔は助剤としてミョウバンが使われていたんですね。
それがあまり体に良くない、と。

BPの商品説明を見ると、今や「アルミニウムフリー」を明記しているものばかり。
というか、それ以外を見つけられない。

それで調べてみたら、膨張剤業界としてもミョウバンを使用しないようにしているそうで、もはやミョウバンをあえて使ったBPって存在しないんじゃないでしょうか。
あと、パッケージに「アルミニウムフリー」と書かれなくなったのは、消費者庁のガイドラインによるものだそうです。

なので、もし、その点を気にしている方がいたら、アルミのことは気にせずどれを選んでも大丈夫だと思います。

【現時点で考え得ること、課題】

これだけ書いておいてなんですが、まだ全然わかってません・・・
大宮糧食さんからは、「「スコーンはBPの配合が多いので、少し減らすか、副素材によってBPの味を相対的に感じにくくさせるか」」とのお答えをいただき、つまるところBPの後味というのは存在するもので、カモフラージュはできるけどもゼロにはできない、ということなのかと、もやもやはクリアになってません。

でも、シンプルなスコーンが好きだから、いかにBP後味ゼロに近づけるか、もっと検証していきたいと思います。

今後の課題としては

・焼き立てだとBPを感じやすいけれど、冷めると(時間が経つと)感じにくいのはなぜ?
・焼成時間の調整
・後味を消せる素材はないか

前進があればその時はご報告します!